|
「薬事審査の実態にメスを」 「この機会に、医薬業への不信感の払拭を」 ◆ 薬害肝炎まとめ 目次 ◆ トップページ
(追記)
薬害肝炎の救済では、第三者委員会を設けて問題を検証することも取り決められました。 「同じような不幸を二度と起こさないためには、何が必要なのか?」 この問いが、検証作業の焦点になるはずです。 もちろん、「最善を尽くせば、どこまでの被害を防ぐことができたのか?」という問いもこれに含まれます。その点は第4回で触れました。 しかし、それだけではないはずです。 国の対応にどんな問題があったか、第三者委員会が検証すべきことを、今回と次回の記事で考えたいと思います。 薬害肝炎の被害がここまで拡大したことについて、国の薬事行政に重大な問題が指摘されています。 「問題の血液製剤は、本来はもっと早く≪再評価≫されるべきだった」 「なのに、国はその検証作業を怠った」 「国がそれを怠ったのは、製薬会社との癒着があったからだ」 再評価とは、過去に承認された薬剤を最新の知見から評価し直すことです。 その実施についての問題です。 国は1970年代に、それまでの薬剤を一斉に再評価しました。しかしその対象から問題の血液製剤は漏れていました。 漏れた理由は、「新薬として扱われた」ためです。 「新薬」として扱われたのは、製薬会社が薬剤名を「フィブリノーゲン」から「フィブリノゲン」へ変更した、ただそれだけの理由のためです。 しかも「新薬」としても、本来受けるべきだった審査を旧厚生省の≪裁量≫で免除されています。 さらに、そもそも最初に承認されたときにさえ、その審査には問題があったと指摘されています。 弁護側は、これが国と製薬会社(ミドリ十字)の癒着により起こったと指摘します。 僕は、それが十分に疑えることだと考えます。 (参考) 『なぜ薬害は起こったか(上)』 『なぜ薬害は起こったか(下)』 薬害肝炎訴訟 リレーブログ 『薬害肝炎』 Wikipedia この経緯は、第三者委員会が断固として追究すべきものです。 たしかに、国が製薬会社(ミドリ十字)に≪配慮≫するのにはそれなりの理由がありました。 当時、国は「輸血の献血化」という政策をとりましたが、それは当時「売血」で合法的に商売していたミドリ十字(当時は『日本ブラッド・バンク』)の企業活動を完全に行き詰まらせるものでした。 献血化政策が国民のためで、しかしそれが特定の企業に致命的な打撃を与えるならば、国がその企業と従業員のために適切な補助・支援を行うのは当然です。 しかし、それは「薬事審査をごまかす」という形で行われるべきものではありませんでした。それは万が一にも健康被害が生じてしまったときに(そして現に生じてしまったのですが)、計り知れない禍根を生じます。 ミドリ十字(日本ブラッドバンク)に対する支援は、きちんと「献血化政策の経過措置」として法制化されるべきでした。新薬開発のための公的支援か、他のものなのか、僕には判断できません。しかし、薬事審査で便宜を図るということではなかったはずです。 きちんとした審査が行われていても、肝炎被害は防げなかったかもしれません。肝炎被害は諸外国でも発生しており、当時の医学水準で防ぐことは困難でした。 しかし、だからといってずさんな審査体制が許されるものではありません。被害が生じたかどうか、ただの結果論です。国はそのリスクを少しでも小さくするために、国民の命を守るために、力の限りを尽くさなければなりません。 なにより、肝炎被害を被った方々にとって、きちんとした審査が行われたかどうかで心にのしかかる無念さが全然違います。 国はその点に配慮すべきでした。 もちろん、このようなフィブリノゲン製剤にまつわる個別の経緯を明らかにすることも大切です。 しかし、第三者委員会の検証が真に意義あるものとなるためには、このような個別の事例を検証するばかりでは足りません。 薬事行政全体の体質が改められるべきだと僕は考えます。 日本政府による新薬の承認を、慎重だという政治家もいます。他国ですでに承認された薬が使用できるようになるまで、欧米は1年半しかかからないのに対し日本では平均4年もかかっているそうです。 しかし、これは単に効率が悪いだけではないでしょうか? その点に、第三者委員会は切り込む必要があると思います。 新薬承認の安全性と迅速性はトレードオフの関係にありますが、今より高いレベルで両立を目指すことができるはずです。第三者委員会は、これを政府に実現させる責任があります。 人員不足で時間がかかるのは、「慎重な審査」にはほど遠いものです。さらに、製薬会社と国が癒着した関係にあるのなら、どれほど時間をかけようが無駄なことです。 製薬会社に勤務歴のある方が、日本の新薬開発のすさまじい実態を書いておられます。 『薬害エイズに関して、新薬の開発の裏面』 TOSHIES VERDEN 1996年8月 かなり昔の記事ですが、その内容は今回の血液製剤が承認された時期とも重なります。さしあたり僕はこの方の証言を信頼するものとします。 第三者委員会は、このような新薬開発・薬事審査の実態にどこまで迫れるか? そこに、検証作業の真価が問われると考えます。 本来、これらの問題は薬害エイズ問題が発覚した際に検証されているべきだった事柄です。 しかし、このようなずさんな新薬開発によって大量の逮捕者が出たという話を、僕は聞いたことがありません。 ならばこのような問題は依然として医薬業界に残っているのではないでしょうか? この記事は、主に製薬会社と臨床試験に関わる医師の側の問題を取り上げたものです。しかし、この筆者が「製薬会社、厚生省、医者の悪の三位一体」と述べておられることから、このような問題には国も深く関わっていることが伺えます。 製薬会社と、国と、臨床試験に関わる大学医学部は、切っても切れない関係にあると僕は考えます。この三つは研究資金援助や天下り先の提供などにより、相互に密接につながっています。 薬害エイズの構造≪患者のいのちはカネのなる木≫ 参議院議員 川田龍平ホームページ ※この図は、必ずしも全面的に信頼できるものとは限りません。同議員自身が薬害被害者であるためか、図中には主観的な表現が散見されます。しかしそれにさえ気をつければ、この図はそれぞれの主体の相互関係を僕たち市民が理解する助けになると思います。 したがって、第三者委員会にはこれら三つの立場について、お互いの利益関係を厳しく追及してその全てを検証の対象とすることが求められます。 以下、第三者委員会が追究すべき内容を示すため、先ほどの記事からの抜粋をもって僕の記事を終えさせていただきます。([]カッコ内は引用者) (なお、公正な記述のために、この筆者が「善意の医療関係者も大勢いる」と何度も断っておられることも記します。) [新薬開発の現場が]組織として動いたとき、資本主義の世の中ではどうしても資本の論理が優先し、個々の善意は隅に押しやられてしまい、総体としてはとんでもないことをやらかしているのである。 第1相試験では健康人を用いて、毒性の限界を見る。この試験には、日本では慣例的に開発研究者が「ボランティア」でやる(やらされる)ところが多い。 同じ効き目でもボス[臨床試験を取り仕切る有力教授]をつかみ損ねる成るものもならない世界である。 このころ同じような薬で、基礎ではこちらのほうが、むしろ良く効いたのだが、ボスを間違えたために日本では承認されなかった抗生剤がある。この会社は、財閥系の大手化学会社であったが、薬業には新参者であった為、医薬業界でのしきたり知らず、在阪の公立医学部の教授をボスにしたために失敗したといわれている。 (優秀な薬で、アメリカでは承認された) [動物実験にかかる数億円規模の]投資のリスクをできるだけ小さくするために、荒い安全性実験をしただけでこっそり[人間を使った]実態実験をするわけである。 医学の世界は面白いもので、しっかりとしたピラミッド型のヒエラルキーが成り立っている。 その大ボスから中ボス、小ボスと上下関係さえ間違わなければ、極めて仕事はシスティマティックにスムースに進む。 この薬は、有効性には厳しい欧米では相手にされていない代物であるが、効かない代わりに副作用も無いので国民皆保険のもとで大いに使われ単味の薬としては月商数十億の商品になった。 一旦権威ある所で、お墨付きをあたえると、有効性が否定されても、これをなかなか是正できないのがお役人仕事でしょうか。 大ボスの権威が如何に大きいかということについて、次のような例に遭遇した事がある。。 ある施設の治験効果が、無効症例ばかり続いたとき担当のドクターは自己規制して、自ら有効症例を増やし数字的にボスの施設の症例の平均値に持っていったことがある。 いわゆる、政治家がひそひそ話をする東京の黒くやたら高い塀に囲まれた料亭にも、某国立大学医学部の有名な教授様と同席する機会も何度とあった。 治験薬の研究会は、体裁は第三者を装っているが、実際は完全に会社がコントロールしているのは言うまでもない。 副作用を押さえる手段はいくらでもある。例えば、ドラッグヒーバー(薬熱)とカウントされた副作用は、その気になれば簡単に消去できる。 ダブルブラインド(二重盲験)試験は、治験薬と対象薬の区別がつかないのが前提で成り立つ。 だから最大のからくりはここにある。 もっと確実に効果を出す方法(これはもう犯罪の領域)のトリック[があり、その方法が詳しく書かれている] 例の、財閥系の失敗した会社の開発責任者は風の便りでは、責任を取らされ閑職に配置転換されたという。 こういった日本の風土が、直接責任者に無理強いを無言の圧力で強いる。 [製薬会社の課長などが]産業スパイ事件として捕まったが、内情を知っているものとしては捕まえる相手が違うのではないかと思った。 本当に悪い、厚生省の役人やその周りにうろうろしている大物ボスたち、会社の本当の責任者(役員)にはメスが入らなかった。 医療に関わる人のほとんどは、崇高な理念基づいて行動しているのも事実である。 しかし、白い巨搭の深部に金まみれの汚れた恥部があることも人々は知っている。 彼は、[異常事態が想定される副作用の]発生率のデータを示し、直接の上司に製品回収を含む善処を何度も進言したが無視された。 後日、彼から聞いた話であるが、彼はその上司に「もしあなたの身内に投与されても構わないのですか。」とまで言って詰め寄ったらしい。 それでも、結果は握り潰され続けた。
|
| << 前記事(2008/01/28) | トップへ | 後記事(2008/01/31)>> |
| タイトル (本文) | ブログ名/日時 |
|---|
| 内 容 | ニックネーム/日時 |
|---|---|
何を参照されているのか、参照元を確かめる余裕がなくてすみませんが、 |
北村健太郎 2008/02/09 16:10 |
献血に関しては、 |
北村健太郎 2008/02/09 16:15 |
> 「製薬会社、厚生省、医者の悪の三位一体」 |
北村健太郎 2008/02/09 16:32 |
.pdf が切れていたので再度。 |
北村健太郎 2008/02/09 16:34 |
>「当時」とはいつか? |
birds-eye 2008/02/10 13:10 |
>献血化の引き替えに厚生省が血液製剤の承認に |
北村健太郎 2008/02/11 20:48 |
> 国には「引け目」があったと思います。 |
birds-eye 2008/02/12 21:45 |
| << 前記事(2008/01/28) | トップへ | 後記事(2008/01/31)>> |