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zoom RSS 薬害肝炎: 『対立する与野党の違い』にいただいたご意見について

<<   作成日時 : 2008/01/20 00:10   >>

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 このブログで先日書いた記事に、ブログ『誰に投票する?』のほうでご意見いただきました(管理人さま、いつもお世話になっております)。
 今回は、いただいたご意見について僕が考えたことを書きたいと思います。

 今回初めてこちらをご覧になる方のために、議論になっている点をかいつまんで説明します。
 薬害肝炎訴訟によって政府から被害の補償を受けられることになった人は1000人程度ですが、輸血を含む医療行為により難治性の肝炎を患った人は推定350万人ほどもいると言われています。それらの人に(C型肝炎に特効的な)インターフェロン療法の医療費補助を行う≪一般対策≫案が与野党で議論されていますが、「病気が進行して肝硬変・肝がんになった人まで医療費補助を行うかどうか?」で見解が異なっています。
 この点について、僕は「一般対策は長期的に医療費を節約するための施策なのだから、肝硬変・肝がんの人まで特別扱いすることは他の患者に対して不公平になる」という主張を行いました。それについて、アイスゆずさんから「訴訟で救済されなかった方もおられるのだから、≪一般対策≫も政府の責任を認めて行われるものだ。だから、肝硬変・肝がんの医療費まで保障すべきだ」というご意見をいただきました(アイスゆずさん、もし間違っていたらご指摘くださいね)

 ご意見いただいてから、僕のほうでも少し考え方を変えています(特に訴訟で救済されない薬害被害者の扱いなどです)。詳細な議論の経過などは、こちらで確認していただければと思います。
2008.01.10 白鳥一声
  『薬害肝炎: 対立する与野党の違い』
2008.01.13 誰に投票する?
  『薬害肝炎: 対立する与野党の違い』
2008.01.14 白鳥一声
  『医療崩壊: この国の医療をむしばむもの』
2008.01.19 白鳥一声
  『薬害肝炎一般対策: 補償と支援の区別』

◆ ◆ ◆

 それでは、いただいたご意見について個別に僕の考えを述べさせていただきます。
 (以下、枠内の文章はアイスゆずさんの記事からの引用です)

私は、インターフェロンの治療費が助成されるべき本当の理由は、国民全体の利益のため、長期的に見て医療費を抑えるためではなく、やっぱり、薬害肝炎について国の責任を認め補償するためだと思います。
 この点について、『薬害肝炎一般対策: 補償と支援の区別』で述べさせていただきました。
 もしも一般対策を「国の責任」を理由に行うとすると、当時の医療水準からはどうやっても感染を防ぐことができなかった方々(血友病の方々や、大量出血への輸血で感染した方々)まで支援の範囲に含めることが難しくなると思います。でも、そういう方々も、インターフェロン療法の過重な経済負担には支援の手がさしのべられるべきです。


投薬を証明できない人で肝硬変、肝ガンまで進んだ人が救済されないことは、あってはならないと思います。投薬を証明する書類がないことは、本人に何の責任もありません。投薬を証明する書類がないために、救済を受けるべき人が受けられないということは、あってはならないと思います。
つまり、「国の責任が認められる人」を、早期に一人残らず救済するために、「もしかすると国の責任が認められない人」もまとめて一緒に救済する、ということだと思います。
 これについては、二点あります。

 まず、僕もこのような方で救済されない例が出るのは、最大限の努力をもって避けるべきだと考えます。その点、アイスゆずさんのご指摘は僕としても非常に苦しいところでした。
 しかし、これらの方々を≪一般対策≫の法制度の中で救済するとなると、「国の責任が認められる人とそうでない人とで、同じ扱いにして良いのか」という問題が生じると思います。それならば、これらの人に求められる格段の配慮(=肝硬変・肝がんの医療補助)は、一般対策によるのではなく、薬害肝炎救済法を改正することで実現された方がよいと思います。

 次に、「救済されない人を、皆無にすべきかどうか」について。
 僕も、皆無になればどれほど良いかと思います。それでも、非常の心苦しいのですが、先端医療の複雑さとそれを誰にでも手の届く値段で提供する制度のためには、このようなケースで「救済されない人」が出るのもやむを得ないことだと考えています。それは、最後の一人まで救済するために救済の網を広げることが、その後になってより多くの人の苦しみを代償として求めてくると考えているからです。
 この点については、『医療崩壊: この国の医療をむしばむもの』の最後の節に書きました。
 ただ、これは飽くまで「補償から漏れる」という意味です。生命を維持し、人間としての最低限度の生活を送ることすら叶わなくなるような人は誰一人出してはなりません。しかしそれは現制度でもかなり実現されていて、そこからも漏れる人は「薬害肝炎」の枠で議論すべき問題ではなくなってくると、僕は思っています。


投薬が証明された事だけをもってそれを「感染の原因」と断定する今回の行政判断すら、じつはかなり被害者に配慮した判断でした(止血剤として血液製剤を投薬された人はしばしば輸血も受けており、そして輸血のほうが血液製剤よりもはるかに感染リスクが高いので、血液製剤は原因ではなかったかもしれないから)。
「配慮」があったこと、よく分かりました。…
 僕の前記事の、この前後の部分は、間違っていたと思います。自分の考えを改めるという意味で、撤回させてください。
 「血液製剤による薬害認定にかなり配慮があった」ことは、「投薬証明を得られなかった人が耐えるべき」理由にはなりません。その点、僕が先の記事に書いたことは筋が通っていませんでした。


 一律救済という解決がなされたことに、僕が反対だったということについて。
私も、防げた被害に対してのみ責任を認めて、補償と謝罪を行うことが出来たら良かったな、と思います。
では、どの人までは防げた被害で、どの人からは防げなかった被害でしょうか。どの人まで国の責任が認められて、どの人からは認められないのか。とても難しいことじゃないかと思います。責任について話し合っている間に、どんどん時間が経っていきます。その間に、患者の病状は進みます。インターフェロンが効かなくなってから、亡くなってから、「この人については、国に責任があったことが分かった」と言っても、遅いのです。
 この点については、僕の書き方に問題がありました。今回このような政治決着が行われたことについては、僕も非難するつもりはありません。
 さしあたり被害者の方々が生きていけるようにするために、政治判断が必要だったという点には賛成です。
 ただ、今後同様の問題が起こったときには、別の解決を求めたいと思います。この点は、近々改めて記事にしたいと思います。


確かに自民党の案(肝硬変、肝ガン患者への対応)は、特定肝炎以外の肝炎患者に配慮したものだと思います。では、肝炎以外の病気を抱える患者にとって不公平だ、ということにならないでしょうか。
 これは、不公平ではないと考えています。
 自民党の対策のうち、「心身両面のケア」というのは、肝硬変・肝がん以外にも適用の道が広い物だと思います。例えば末期肝がん向けのターミナルケアを充実させれば、それは他の末期がんや重病にも応用することができます。
 「医療水準の向上」については、例えそれが「肝がんの治療に優先的に研究資金を配分する」という事であっても、問題ないと思います。医学は、一つ一ついろいろな病気を克服してきました。それはその時期その時期で「優先的な克服課題」があった物だと思います(例えば天然痘や、結核など)。今回それが肝臓がんになるのであっても、これは十分に多くの人を苦しませる病気なので、不公平にはならないと思います。(もちろん、優先の程度にもよることだとは思います。)


「C型肝炎から肝硬変・肝がんになった人は、生命保険などに加入できず、他に比べて治療費負担が著しく不利」という事情があれば、医療費助成もアリかもしれません。
 これは僕がコメント欄で指摘した問題点ですが… 丸投げしたままで心苦しいので(笑)、僕なりに調べたことを書きます。
 「C型肝炎の診断が確定した後、生命保険に加入することはきわめて困難」です。その結果、将来の肝硬変・肝がんで著しい経済的不利が生じるかもしれません。
 ただ、これは同様の例が他にもあります。「糖尿病の診断が確定したら、やはり生命保険の加入は困難。将来の心筋梗塞などで、経済的不利を生じる」など、同じ構図です。
 診断が確定する前に生命保険に加入するかどうかは、その人の人生を本人の責任において選択する行為です。僕はいま2(ピー)歳ですが、向こう数年で重大な病気にかかることはないと高をくくっているので生命保険に加入していません。それは僕の責任であり、糖尿病やC型肝炎の診断を受けたときに他の人を責められる問題ではないと考えます。
 ただし、成人としての責任が生じる20歳より前にC型肝炎を診断された場合は、何らかの支援があっても良いのかもしれません。

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コメント(8件)

内 容 ニックネーム/日時
有難うございます!
とても丁寧に読んで下さって、うれしいです。よく読んで、また疑問点などを記事にさせて頂きます。

>ただ、今後同様の問題が起こったときには、別の解決を求めたいと思います。この点は、近々改めて記事にしたいと思います。

期待しています。裁判が始まってから5年、和解勧告が出たのは昨年11月7日、最終的な政治決断は12月23日でした。もっと早く何とかできなかったのかと思います。このような時早く対応できることは、その時の政権にとっても得なはずだと思います。
アイスゆず
2008/01/20 12:12
こちらで、コメント書かせて頂きました。
http://blog.goo.ne.jp/lazybones9/e/8c2064bdc3886c5deeb347af38da3a1a
アイスゆず
2008/01/20 12:44
すみません。こちらです。
<日々是好日>
http://blog.goo.ne.jp/lazybones9/e/
8c2064bdc3886c5deeb347af38da3a1a
アイスゆず
2008/01/20 14:47
 こちらこそ、いつも僕の記事を拾っていただいて、その上あちこちで紹介していただいて、本当にありがとうございます。
 うちの記事は、タテマエ上は「初めての人でも読めるように」書いていますので、お返事が遅れたりいただいたコメントとの対応が分かりづらかったりするのは、どうかご容赦ください。
 (ブログが新聞っぽさを気取ってどうするんだよ、ともう一人の自分にツッコまれます)

>もっと早く何とかできなかったのかと
 まったくです。
 実は、一般対策と薬害救済の両法案は、成立順が逆であるべきだったのではと思っています。まず全員の生活を成り立つようにし、その後に責任追及を慎重にやる。一般対策の方こそ何年も前に実現させるべきだったように思います。
birds-eye
2008/01/20 18:06
 ブログご紹介、ありがとうございました。何か他人のような気がしなかったので(笑)、RSSリーダに登録しました。

 自分では人のブログに出かけていく習性が乏しいところ(ぉぃ)、アイスゆずさんのおかげでずいぶん色々な考えを知る機会を得られているように思います。改めて、本当にありがとうございます。
birds-eye
2008/01/20 18:10
>実は、一般対策と薬害救済の両法案は、成立順が逆であるべきだったのではと思っています。

似ている意見を、患者さんのブログで見たことがあります。

>「初めての人でも読めるように」
是非このスタイルで続けて頂きたいです。私は分かりやすいです。

>あちこちで紹介
誰かいっしょに反論してくれないかナァ…と思いながら紹介しています。(笑)
アイスゆず
2008/01/20 21:48
 いやもうご自身の記事の紹介もそこそこにあちこちでご紹介いただいてなんとお礼を申し上げればよいのやら…
>誰かいっしょに反論…
 …やっぱりかあああぁぁぁ!?(笑)

 まあ、ご謙遜でもそうでなくても大歓迎です。重ね重ねありがとうございます。
 反論も楽しみですし。護憲派アマゾネスでも何でもかかってきたら受けて立ちます(笑) 「百万人といえども我ゆかん」……あれ……なんで僕、アノ前首相みたいな事を言ってるんだろう………?


>患者さんのブログ
 そういえば、弁護団のリレーブログもまだきちんと読んでなかったなぁ… いけないことだ、読もう。
birds-eye
2008/01/21 00:12
あっ、私も弁護団のブログはあまり読んだことがありません。原告のブログは主に福田さんのを読みました。
上のコメントのことは、B型肝炎の患者さんのブログで見ました。
2008年01月10日
不安と混乱を招いただけの議員立法
http://blog.livedoor.jp/hkkawa3535/
archives/50834082.html
こちらです。とても勉強になりました。
アイスゆず
2008/01/21 01:12

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