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zoom RSS 給油新法&薬害肝炎: 国会の深刻な機能不全

<<   作成日時 : 2008/01/12 00:38   >>

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議員たちの未熟のせいで、
国会が健全に機能していないのではないか?

※ 初めにお読みください

 以下の文章で僕が述べる内容は、決してこのたび薬害肝炎救済法が成立したこと自体を否定する物ではありません。僕は同法が成立することによって、発生を防ぐことができた被害者の方々が政府から妥当な補償を勝ち取ったことを歓迎しています。それらの方々は闘病のさなかに裁判を戦い、政府の過失を明らかにし、様々な困難を乗り越えて今日の結果を得たもので、僕はその点についてこの方々に尊敬の念を表します。
 そんな僕の心情を代弁するものとして、以下の記事を紹介させていただきます。
  『特別措置法成立 薬害肝炎』 誰に投票する?
 本来ならば自分の言葉で書かなければならないことですが、限られた時間の中でこのような形での意思表明となってしまったことはご容赦いただければ幸いです。

 どうか皆さまには、この点をご了解いただいた上で以下の文章を読んでいただければと思います。

 去る1月11日に国会で成立した二つの法案は、いずれも大きなニュースとして取り上げられました。いわゆる「給油新法」と「薬害肝炎救済法」です。
 しかし僕にとって、この二つの新法が成立した経緯は、日本の立法府の現状に深刻な危機感を抱きたくなる物でした
  『新テロ特措法が成立、衆院再議決は57年ぶり』
  『初めてのうれし涙に 救済法成立で原告団』
   イザ!配信2008.01.11
 政治を扱うブログ書きとして、僕はこの現状に警鐘を鳴らしたいと思います。どうかお読みいただき、この問題について考えていただければ幸いです。

■ 給油新法 ―国会を形骸化させる自民と民主
 同法を成立させるため、自民党は衆院再議決という非常手段を取りました。これ自体も許されないことでしたが、そこに至るまでに行われた自民・民主両党の議論もはなはだ粗末な物でした。
  『再可決へ―「3分の2」決着の無策』
   朝日新聞社説 2008.01.11
 (Web魚拓
 この朝日新聞の社説では、衆院再議決に至った両党の議会運営を厳しく批判しています。僕はこの社説に賛同しますが、それ以前の問題として深刻な疑念を抱いています。それは、例えどれほど時間をかけようとも、そもそも国会議員たちに論戦から有益な結論を導く能力が欠けているのではないかというものです。与野党が話し合っても互いにけなし合うばかりで、建設的な議論が行えないのではないかという危惧です。
 先日行われた福田氏・小沢氏の党首討論の様子から、僕は彼らの議論の拙さを指摘する次の記事を書きました。
  『党首討論: 中身薄い議論、飛び交うヤジ ―議論のスキルを磨け』
 議論がどのように「拙」く、どう改善すればよいのかはこの記事をお読みいただきたいと思いますが、恐ろしいのはこれが国会議員全体の水準だろうと思われることです。
  :
 以上に指摘したものは、例えば大学で弁論サークルあたりに所属しているか、あるいは理系研究室で研究発表の訓練を受けていれば、その大部分は身に付くはずのものです。いわば、プロとしては当たり前の技術だと僕は考えています。

 僕が恐ろしいと感じているのは、この当たり前の技術が政治家に全く理解されていないのではないかということです。
 今回の党首討論を、町村官房長官は「非常に大人の落ち着いた雰囲気の討論だった」と評したそうです。さらに「盛り上がらなかったのではないか?」記者に問われて、「盛り上がるというのは、ヤジが飛び交うことを盛り上がるというのであれば、それはいい盛り上がりなのか分かりません」と答えています。「盛り上がる」という言葉から「かみ合って、充実した議論」という発想が出ず、まっさきに「ヤジ」を思いつく同氏の見識を疑います。そして、これが議員の一般水準ではないかということを恐ろしく感じます。

 どうか、この問題を考えていただきたいと思います。
 対立する政党の間で建設的な議論が行われない国会は、無いも同然です。それは、ただひたすらに「選挙で勝った政党が、法案を通す姿をデモンストレーションする場」でしかありません。
 そして長らく政権交代が行われてこなかった日本の現状では、それは民主主義が死んでいたことを意味しないでしょうか? 選挙に勝つのは自民党で、勝った党は少数派の意見を取り入れず恣に政治を動かしてきたということだからです。

 『政治家の素養としての議論のスキル』という問題を、どうか心にとどめておいてください。

■ 薬害肝炎 ―「全会一致で成立」の恐ろしさ
 冒頭でも述べましたが、僕は薬害肝炎救済法が成立したこと自体は歓迎しています。しかし、「議員の誰も反対しなかった」ことに恐ろしさを感じています

 このブログで繰り返し主張してきたことですが、僕は同法が被害者を「薬害の初めの一人から」「全て一律に」「政府の責任という名目で」救済すると定めることには反対でした。それは「政府の体面」を考慮するからではなく、今後の薬事行政を危惧し、また同法が救済しない他の全ての病苦に対して不公平にならないことを望むからでした。
 これは決して僕一人が考えているようなことではなく、医療の現場を知る人からは幅広く聞かれる意見です。同様の趣旨を主張するブログを直ちに紹介できないのは申し訳ない限りですが(紹介するためには、僕の引用が筆者の趣旨に反していないか精読して確かめる必要がありますが、今日はその時間がありません)、僕が私的に知る範囲でも複数の医師がこのような意見を述べていました。

 このような議論があるからこそ、僕は同法案が全会一致で採択されたことがおかしいと考えます。結果的に同法案を成立させるのだとしても、この問題は全員一致で結論を出せるほど生やさしい問題ではないのです。何百人も国会議員がいたのであれば、一人くらいは反対票を投じる人がいてしかるべきだったと考えます。
 少しでも医療の実態に詳しい議員がいれば、国民に警鐘を鳴らすために反対票を投じることは理にかなっていたと考えます。その理由も、誠意を持って説明すれば、自分の政治的理念を明らかにして国民の理解を得ることは不可能ではなかったはずです。
 それを行う議員がいなかったのがどうしてかは分かりません。ただ、「医療に詳しい議員がいなかった」のだとしても、「世論に逆らって反対票を投じる勇気がもてなかった」のだとしても、これは国会議員の質の低さを示す重大な問題だと僕は考えます

 ジャネット・ランキンという米国の有名な下院議員がいます。この方は、二つの世界大戦のいずれの時期にも下院議員の職にありましたが、第一次大戦の米国参戦に反対票を投じたばかりでなく、真珠湾攻撃を受けて同国が怒りに沸いた第二次大戦においてもただ一人で開戦に反対票を投じました。
 このように勇気のある、賞賛に値する政治家は、いまの日本にはいないのでしょうか? 寂しさを通り越して、痛恨に感じます。

※なお、ジャネット・ランキン女史は平和主義的観点から両大戦に反対された方で、いわば「人の命を尊ぶため」に反対票を投じられました。それでもあえて僕が例としてあげたのは、先にも書きましたとおり、薬害肝炎の問題は「政府の体面」の問題ではなく「他の病苦にたいする不公平」という人の命に関わる問題だと考えるからです。
 その点をご理解いただければ幸いです。


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