白鳥一声

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zoom RSS 薬害肝炎: 救済者限定は「不当」か?

<<   作成日時 : 2007/12/11 23:58   >>

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公正でありたいと願います。
感情に流されず、時には大勢に逆らう勇気を持って。
過てば、そのツケは巡って、必ず自分自身に返ってくるからです。

 この記事を勉強不足のまま書くことをお許しください。薬害肝炎の問題について、僕は何が正しいのか分かりません。
 政府と製薬会社は、どのような理由で責められるべきなのでしょうか?

 薬害肝炎の原告団が、救済者を限定していることを理由に大阪高裁の和解案を拒否するニュースです。
  『和解骨子案の拒否を正式決定 薬害肝炎原告団』
   イザ!配信 2007.12.09


 薬害肝炎の事件についてはこちらのブログ記事がわかりやすいです。
  『薬害C型肝炎の原告団 和解骨子案の拒否を正式決定』
   お医者になるのは、大変ですね
 医療系のトピックについて、すばらしい記事を書かれているブログです。専門にも踏み込んだ内容を、わかりやすい文章で上手にまとめておられて、たいへん興味深い記事が多いです。
 医療系の記事を書くのに、僕がぜひ見習いたいと思ったブログです。

 僕は、この薬害で苦しんでおられる患者さんを気の毒に思います。公的な救済を含む、十分な支援が行われることを望んでいます。

 しかし、政府と製薬会社の「責任」という点については、どこまでが問題で、どこからが問題でないのか、判断しかねています。
 特に、原告団が「救済対象を線引きする和解案は全て拒否」という態度をとっていることに、疑問を感じています

 言い換えます。
 僕は、政府と製薬会社の責任を全否定するつもりはありません。情報の隠蔽や対策の遅れ、不誠実な対応など、責められるべき点はたくさんありますし、その責任は断固として追及されるべきです。
 被害者に対しては、薬害情報の提供や治療の斡旋、治療費の公的な補助などが行われるべきです。特に対策が遅れたことの保障は手厚く行われるべきだと考えます。
 しかし、過失に対する保障としての被害者救済は、その対象を線引きするのは、線引きの条件さえ正当であれば認められるべきではないでしょうか?


 少し、一般論を話します。医療行為にはリスクが伴うという話です。

 例えばある新薬があるとします。この新薬は、どんなガンでもたちどころに治してしまうものだとします。患者は、苦しい闘病生活とガンによる死から解放されます。
 しかし、臨床試験では心筋梗塞を起こすという副作用が報告されています。さらに、科学の限界としてやむを得ないことですが、まだ報告されていない重大な副作用があるかもしれません。

 この新薬を、医師は使うべきでしょうか? 厚労省は、この新薬を承認すべきでしょうか?

 例えば、既知の副作用である心筋梗塞で死亡した患者の遺族が、医師や政府を訴えたら、その訴えは認められるべきでしょうか? その時に考慮されるべき条件は何でしょうか?
  • 事前の説明(インフォームド・コンセント)が十分だったかどうか
  • ガンに対して予期される治療効果が、副作用のリスクを上回ったかどうか
    (他の薬でも治る軽いガンか、絶望的な末期ガンか?)

 例えば、未知だった副作用で、患者が脳死を起こしてしまったらどうでしょうか? 家族の訴えが認められるためには、どのような条件が満たされるべきでしょうか?
  • その副作用が本当に予見不可能であったかどうか?


 もしも、これらの条件が考慮されることなく、被害者側の主張が手放しに認められたら、何が起こるでしょうか?
 医師は新薬を使うことをためらうでしょう。厚労省は、外国で承認されて実績を積んだあとの古い薬だけを承認するでしょう。
 その結果、助かるはずだったたくさんのガン患者が亡くなることにはならないでしょうか?


 一般論はここまでです。
 僕が知りたいのは、今回の薬害肝炎は、この話の中でどのようなケースに該当するかということです。

 大阪高裁の和解案は、例えば国の責任を1987年以降の投薬に限って認める方針です(朝日新聞より)。それは、旧厚生省がフィブリノゲンによる肝炎発症例を初めて把握した年だとされています(Wikipediaより)。この情報が正しければ、1987年以降のみ問責する事は妥当であるように思われます。
  『輸血感染との区別図る 薬害肝炎訴訟、国の救済限定主張』
   朝日新聞 2007.12.11
 (Web魚拓
  薬害肝炎 Wikipedia
  フィブリノゲン問題 Wikipedia
 しかし、和解案が全体としてはどういう事で、それが妥当なのかどうかは、僕にはよく分かりません。例えば「88年以降を問責しない」根拠である緊急安全情報が、十分に周知されたのかどうかもよく分かりません。投薬情報を入手するという被害者側に課されたハードルの高さも分かりません。

 一方で、被害者側の主張からは、医療行為のリスクに対する認識が不足している印象も受けます。
 薬害肝炎訴訟の弁護団公式ホームページでは、訴訟の理由として国のずさんな審査による不必要な投薬を挙げています。しかし、救済範囲の線引きを認めない理由では、医療行為による肝炎感染者の数を主張するばかりで、それが当局の責任を問えるか(つまり、事前に感染を予想できたか)について触れていません。


 当局のずさんな対応や不誠実な姿勢を責めることはともかく、薬害肝炎の救済範囲を限定する案を全否定することが良いのかどうか、冷静に考えてみたいと思います。

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 本ブログ「白鳥一声」は、ただいま≪薬害肝炎問題≫を重点的に取り上げています。以下は、この問題に関連する本ブログのエントリーをまとめたものです。  (※なお、このエントリーは随時更新されます。また特集期間の間は、このエントリーは常に新着記事リストの最上部に表示されます) ...続きを見る
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コメント(11件)

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こんばんは。
>原告団が「救済対象を線引きする和解案は全て拒否」という態度をとっていることに、疑問を感じています。

私は理解できるように思います。
「1987年以降のみ問責する事は妥当である」と考えて、大阪高裁の和解案を受け入れると、救済される人と、救済されない人がいます。では、救済されない人はどうすればいいのでしょうか。
今この時に日本のどこかで、インターフェロンのお金を必要としている人がいるかも知れないと思います。(インターフェロンは体にきつくて、投与しながら働くのは難しいと聞きました。そうなると益々お金が必要になります。)今、経済的な理由で躊躇して、悪化し、そのまま命を失くす人がいるかも知れないと思います。
「責任をどこまで問われるのが妥当か」という問題を別にして、全員が少しでも長く生きられるように、少しでも早く、全員救済が決定されるべきだと思います。
首相に「全員救済する」と言って欲しいです。
アイスゆず
2007/12/12 19:33
責任がどこまで問われるのが妥当か、というのも、重要な問題だと思います。でも、それより何より、今薬を買うお金を必要としている人を少しでも早く助ける、という判断をしてもいいのではないかと思います。
アイスゆず
2007/12/12 19:35
薬害肝炎に関する様々な問題について、知れば知るほど、現実は患者にとって公正とはほど遠いと感じます。それなのに、患者の救済の問題についてだけ、「公正に判断するべきだから」と、救済されない患者を作ってしまうのは、ひどすぎると思います。

公正なことは重要だと思います。でも現実は、立場の強い人間に公正を求めるのは難しく、立場の弱い人間にばかり公正が求められているようで、そのこと自体が全然公正でないと感じます。
アイスゆず
2007/12/12 20:14
 アイスゆずさん、コメントありがとうございます。
 僕も、薬害肝炎の被害者には何らかの公的支援がなされるべきだと思っています。記事では十分に主張できませんでしたが、その「公的支援に関しては」、被害者を線引きせず分け隔てなく支援すべきだと考えています。

 ただ、「過失に対する補償」という名目で支援を要求するなら、線引きが生じてしまってもやむを得ないのではないか、という主張でした。
birds-eye
2007/12/13 00:39
 補足させていただきますと、薬害肝炎の被害者を幅広く救済する制度としては、僕は、過失の有無にかかわらず医療費を助成する制度を設けた方がよいと考えています。「予知できなかった副作用により重病を患った人を、税金で支援する」ということです。
 難病(特定疾患)に対する医療費助成制度というものがあるそうです。僕も詳しくは知らないのですが、医療費が高額になりがちな特定の難病に公的支援を行う制度だそうです。これなどは、「誰かが悪いから」支援するわけではないですよね? 同じことを薬害肝炎にも期待しています。
 それを、「過失があったから当局は補償すべきだ」と言って裁判所に持っていってしまったのなら、「過失が認められる範囲にしか補償は行わない」という結論が出されるのもやむを得ないのではないかという主張でした。
birds-eye
2007/12/13 00:46
 「過失があり、誰かが引責すべき」問題と、「過失はないが、お金を出すべき」問題を峻別したい、という考えでした。そこを曖昧にすると、今後の医療行政に弊害が生じると考えたからです。
 後者の方がきちんと主張できていなかったのは、至らぬ限りでしたが…
 もちろん、政府が責任を問われるべき問題も山ほどあるようです。その点について仮借するつもりは毛頭ありません。

>立場の強い人間に…
 これは、耳が痛かったですね。おっしゃるとおりです。
 同じ声の大きさで強者と弱者のどちらも責めれば、弱者ばかりが追いつめられます。思い至りませんでした。
 深く胸にとどめ、今後の記事では配慮を怠らないようにしたいと思います。ご指摘いただいたこと、本当にありがとうございます。
birds-eye
2007/12/13 00:57
私のコメントを読み返すと、思いっきり感情が先に立ち分かりにくく、一番言いたいことが言えてません。
…orz
一番言いたかったのは、訴訟を始めてからすでに長い時間が経ち、その間に亡くなった人、もうインターフェロンの効かない人がいて、今もどんどん病状が進んでいることです。
この問題が私にはあまりに複雑なので、頭がゴチャゴチャになっていましたが、記事を拝見して整理されました。ありがとうございます。

医師が新薬を使いづらくなると、そのために失われる命があるかも知れないことを配慮できていませんでした。教えて頂きありがとうございます。
アイスゆず
2007/12/14 18:17
>「過失があり、誰かが引責すべき」問題と、「過失はないが、お金を出すべき」問題を峻別したい

きっと、こういうお話だから、私の書くことはズレた内容になるんじゃないかと思いましたが、書きました。とにかく今病気が進行している方々にとって、時間がないのだと感じます。「「過失に対する補償」という名目で支援を要求する」という原告団のやり方が上手くなかったと今思っても、やり直す時間が、あまりに惜しいと感じます。

いずれにしても皆でお金を負担すれば解決する問題だから、有権者が「今すぐに助けたい」と思えば、どんな方法でも、どんな政治判断でも今すぐに出来ることだと思います。

年末で普段よりニュースを見る人が少ないけれど、少しでも早く多くの人に知ってもらうことが、早い解決への道になる気がします。だから記事を見つけて「待ってました」と書き込みました。
アイスゆず
2007/12/14 18:20
>立場の強い人間に…
私はこの記事ではなく、日本の社会が、現実がそうだと思いながら書きました。どんなに細かい法や制度があっても、現実があまりにも複雑で公正とは遠いから、人の命がかかる事には融通をきかせて、まず命を救う判断をしてもいいと思いました。
アイスゆず
2007/12/14 19:00
>どんどん病状が進んでいる
 ご指摘の通り、これは非常に大きな問題です。

 僕のブログ運営の大きな欠点なのですが、あるトピックの一番大事な論点に触れないで記事を書く傾向が強いのです。
 僕としては、見落とされがちな論点(今回は新薬のこと)を指摘するのを一つのスタンスにしているのですが、そうするとどうしても最大の問題(被害者の窮状)の扱いが軽くなるので… ご指摘いただけたことは、本当に感謝しています。

>やり直す時間が、あまりに惜しいと感じます。
 全くもっておっしゃるとおりです。

>公正…融通をきかせて
 「疑わしきは被告人の利益に」という裁判制度と通じるものがありますね。同感です。

 この問題を改めて記事にしましたので(TBしてます)、そちらもごらんいただければ幸いです。
birds-eye
2007/12/15 00:18
新しい記事、拝見しました。
頭のあちこちにひっかかっていたことが色々あったので、すごくすっきりしました。
ありがとうございます。
アイスゆず
2007/12/15 00:53

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